基礎配筋検査時には地業工事の高さについて問題がないか(設計図書の設定より高くないか)ベンチマークBMを確認し理論値を出してから、現場施工状況を確認している。こちらの現場では測定箇所すべてで安全側の数値となっており合格であった。もしここで不利側になってしまっていた場合、現場是正や構造設計者確認が必要になる重要な確認項目の一つだ。
大きな不具合はなく、施工状況は良好と言っていいだろう。写真は鉄骨の柱が載る場所を撮影したもの。重量鉄骨造なので、アンカーボルトも相応にごつい。
コンクリートの仕上がり状況でいくつか指摘が上がった。軽微なコールドジョイントや気泡によるジャンカが見受けられた。
コンクリートの流し込みは、ミキサー車で運搬された生コンを現場で流し込む。基礎が大きい(一階の面積が大きい等)と、ミキサー車の運搬~流し込み~生コン締め固めに時間がかかるケースがある為、施工計画をきちんと立案できるかも施工店の実力による。
上棟検査レポート
鉄骨の組立作業が終わった段階での上棟検査を実施した様子。
鉄骨造の躯体(柱や梁などの構造部分)精度は、基礎に大きく影響される。基礎の水平精度が良好であれば、上部構造にはさほど大きな狂いは発生しないが、その逆だと鳶の腕云々ということではなくなってしまうため、前段階での管理が大変重要である。
写真は外壁の目地ずれ。外壁同士の隙間間隔が許容値を超えている為、調整を指示した。
次の写真は断熱材のフィルムが破損している様子。
この段階以降も、作業をしていく中で破損が目立った為、発見した段階で都度指摘を繰り返すこととなる。正直、仕様(材料種類、作り方含めて)には疑義が残る。
断熱検査レポート
天井はグラスウール敷き込みの断熱工法だが、指摘が多かった。
天井下地が木材を井桁でくみ上げるのが標準だが、断熱材の敷き込みは「やりにくい」の一言である。こういったやりづらい工事内容はえてして指摘が多くなるいい例と言えよう。現在、大手のハウスメーカーで天井井桁に下地を組んでいるのはほとんど目にしない。
断熱材は隙間が存すると一気に断熱性能が悪くなる。如何に数値上、性能がいい材料を選択してもこのような状況では本来の性能は発揮できない。
内部造作完了検査レポート
大工工事が完了した段階での内部造作完了検査を実施した。写真は壁がまっすぐになっているかをレーザー機器で確認している様子。
ダイワハウスを含む大手鉄骨メーカーでは「カットボード」を採用する流れになっている。カットボードは石膏ボードをあらかじめ工場で切断したものを現場に搬入し、大工は「ただ単に貼る」という作り方だ。
しかしながら実現場ではそう上手くいかない。どうしても材料同士の誤差が生じるので、写真のような隙間が目立つこととなる。
次の写真は、大工技量の話か・・壁の直角部分が大きくずれているのがわかる。
単純なエラー、ビスの打ち忘れも散見された。
鉄骨メーカーは木造メーカーよりも工業化の毛色が強く、どうしても大工のスキル・モラルが低い傾向があるのは否めないであろう。
足場解体前外装検査レポート
足場解体前の外部総点検である。このタイミングで屋根防水検査も併せて実施した。防水の仕様は「シート防水」で、鉄骨造ではよく採択される工法である。
外壁の貫通部フードなど確認。今後の雨水侵入を防止する重要な確認事項である。
施工状況は良好であったが、窓ガラスが破損している箇所があったため交換指示をだした。足場を歩く際に、モノがぶつかったのかもしれない。