セキスイハイムの現場調査

山梨県 I様邸

調査日:2020年2月〜9月

【エンジニアリングレポート】

調査結果まとめ

  • ユニット据え付け時の天候が雨天降雨にあたり、据え付けの工事ができなかった。ユニット工事の再段取りがスムーズにいかず、結果工期遅延となった
  • ユニット工法なので構造の目視確認はほとんどできない為、工場品質を信じることが大前提となる造り方である
  • ユニット据え付け後の躯体精度に関して、特にジョイント部分は注意が必要だろう

  • 是正報告には大きな問題はなかった
  • 是正は指摘後、修正され問題なく引渡しが遂行された
東京セキスイハイム、山梨県I様邸の現場調査レポート。契約前の図面精査からインスペクションを実施した。設計制約が多く、間取り決定まで時間がかかった感は否めない。契約先行で進めていくと、後で時間が足りなくなるので要注意だ。
 
施工に関しては「ユニット工事」が最大の山場であり、これに建物品質をゆだねているといっても過言ではないだろう。

基礎配筋検査レポート

大手のハウスメーカーでは珍しく捨てコンクリートを施工していない。構造的な問題は「捨てコン有無」は直接の関係はないが、きちんと砕石転圧をしないと写真のような指摘が生じやすい。
 
指摘は鉄筋のかぶり厚不足の様子で、規定寸法を満たしていない為、是正指示を出した。
ユニットを支える部分は基礎幅を大きくする必要がある設計となっており、該当箇所には比較的多くの鉄筋が配置される。鉄筋の本数が多くなると、鉄筋同士の隙間がなくなってしまい、コンクリートの充填不良が発生してしまうので、これも是正対象となる。
現場は比較的しっかり管理された印象をうけ、施工状態は悪くない状況であった。

基礎完成検査レポート

コンクリートの流し込みが終わり、基礎が完成した時点での検査。施工状況は良好で指摘事項はなかった。

基礎の出来形寸法が設計図書と相違がないかを確認している写真。コンクリートの仕上がり状態も良好であった。

次の写真は基礎の対角寸法を検査している一枚。もともと鉄骨ユニットを主軸に販売活動をしている為、このあたりの施工精度は他ツーバイ(木造メーカー)と比べても精度確保に対する意識の高さを感じる。

ユニット据え付け完了検査レポート

工場製作のユニットには断熱材がすでに入っていることもあり、天候確認が非常に重要である。降雨の中で工事を進めてしまうと、構造材・断熱材とも水分を吸ってしまい品質低下の恐れが否めない。

本件は運悪く、ユニット据え付けの日に降雨が続いて、据え付け日が2度スライドしなくてはならなかった。工事日程のスライドは他の現場との兼ね合いもありスムーズに行われないこともあるので、工期遅延やその後の突貫工事など懸念事項がある。全体的な工期はかなり余裕をもった方がいいだろう。
 
次の写真は、据え付け完了時の様子。工事材料の配送便回数を抑える為か、かなりの材料が一気に建物内へ搬入されるのだが・・作業のしづらさは否めず、現場での職人は苦労を強いられる工事手順だろう。
外部は外装材の下地まで完了しているのが写真からもわかる。
降雨でのユニット据え付け工事を徹底的に避けたこともあり、含水率は規定値以下を無事に確認できた。
工場生産で品質は一定というのがうたい文句であるが、あくまでも作業員の手で部材を造っていく。その為、作業員個人のスキルに影響されてしまう個所は存在する。写真では、壁石膏ボードの固定留め具がない。
結局は現場で大工が、このような個所にあとから留め具を施工していくので、中途半端な印象は否めない作り方だ。

内部造作完了検査レポート

各所に指摘事項があり、再検査が必要となった。次の写真は壁石膏ボードの隙間が過大であるのがわかる。
印象としては
・管理者は、ユニット工法(工場生産)だから大丈夫
・作り手は、ユニットだからある程度仕方がない
という感じだろうか・・

次の写真は現場での留め具施工が、石膏ボードの端部に打ちすぎている為、意味がない状態。
他にも壁の段差や不陸と言った「基本的に満たしておくべき」事項に指摘が見受けられた。
建築工事では「ジョイント」に不具合が発生しやすい。特にユニット工法は大部分を工場で製作する為、遊びが少なくいわゆる「なり(搬入されたものをそのまま設置するだけ、という意味)」で工事を進めてしまう傾向が強いのが工法の特徴と言える。

内部造作完了再検査レポート

前回指摘の是正確認を含めての再検査。工期も厳しく、手直しはその場で実施していく形で検査を実施した。

ユニット据え付けの工事が、スムーズにいかず後工程の余裕がなくなり、工事を急ぐことも、造作工事の指摘数に影響を与えていると推察できる。

足場解体前外装検査レポート

足場解体前の外装検査の様子。
大きな指摘はないが、とにかく「傷が多い・・」のが印象的であった。
全体的に仕上げの粗さが否めない。何とか工期を守って・・といった工事進捗は最後、当然にしわ寄せがやってくる典型である。
 
工期遅延はあってはならないのだが、昨今の天候不順などで「仕方がない」ケースもあるだろう。現住まいの売却条件などあれば別だが、引渡しが後ろにずれても金銭解決(仮住まい延長による費用発生など)できるのであればハウスメーカーと早めに相談したほうがいい面もある。
 

【I様邸基本情報】

建設地 山梨県
工法 枠組壁工法(ユニット工法)
延べ面積 105〜110㎡
階層 2 階
契約時見積 3300〜3400 万円
最終見積 該当データなし

現場調査したハウスメーカーの解説動画

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