一条工務店の現場調査

千葉県 K様邸

調査日:2026年3~2026年7月

【ER(エンジニアリングレポート)】

  • お客様からお問合せ頂いた時点で、着工済で基礎は完成している状況であった。ホールダウンのアンカーボルト位置を間違えていた事が、パネル据付け時点で発覚し、今後の進め方含め、お客様から相談を受けた経緯からインスペクション介入がスタート。出来上がった基礎を壊してやり直しをすることで方針決定し、基礎配筋検査から当センターが介入した。
  • 検査依頼や是正報告に大きな問題はなかった。
  • ※今回、工事担当者は「基礎工事」と「躯体工事以降」で担当者が変わる分担体制であったが、基礎から躯体以降への引継ぎ等に大きな問題は見られなかった。

基礎配筋検査レポート

重大な指摘はなく、本検査では「かぶり厚さ不足」などが存在し、その場で是
正指示の上、手直しを確認した。
写真は配管スリーブと鉄筋のかぶり厚さ不足である。
ヒアリングの結果、基礎業者は意識(気を付けて)して施工をしていたが、スリーブ
管を設置した設備業者の施工によるものであった。
どの現場でも共通する事だが、特に複数業者が入る工程で不具合が発生しやすい為
ハウスメーカー(建設会社)の施工体制がわかる判断材料のひとつと言える。
 

アンカー検査

一度完成した基礎を解体する原因となった、ホールダウンアンカーボルトM16の施工
状況も確認した。アンカーボルトの設置位置に問題はなかったが、アンカーボルトの
高さ確認をした結果、ボルトの必要埋込み深さが不足している事を確認した。
必要埋込み深さが不足している場合、必要な引抜耐力が確保されず、地震時にボルト
が抜けてしまうリスク等がある為、重要な項目のひとつである。
今回の経緯からみても、事前の自主検査が徹底出来ていない印象であった。
なお、高さ確認は目視等ではなく、「レベル」という精密機器を使用する。
機器にも種類があり、現場では主に下記2種類を使用
「光学式レベル」と「レーザーレベル」
それぞれの機器の特徴は
・光学式レベルは「検査用(2人で使用必須)」
・レーザーレベルは「作業効率用(1人でも使用可能)」
である。
機器の詳しい説明は、割愛するが、一条工務店は「光学式レベル」を保有していない
為、高さ確認は基礎業者が保有している「レーザーレベル」で管理せざるを得ない体
制となっているのが残念である。
なお、一条工務店に限らず、光学式レベルを使用していないハウスメーカーは複数社
存在する。
下記は当センター持ち込みの光学式レベル機器による高さ確認状況
 

基礎完成検査

基礎の仕上がり状況は良く、指摘はなかった。
当センターは指摘をする事を目的としておらず、検査後に次工程の施工に関する注意
点や次回検査時の主な確認事項など、事前に工事担当者とすり合わせを実施する。
担当者が理解したうえで、事前の段取りや社内検査等を徹底すれば、施工品質向上に
繋がるケースは多い。
今回、基礎完成まで2回の検査(配筋検査とアンカー検査)を実施している事もあり
施工体制や施工品質への意識等は、さすがに徐々に良くなっていった印象であった。
 

パネル完了検査レポート

一条工務店の場合、工場で製作されたパネルを現場で組み立てる認定工法であり、現場施工部分と工場製作品の取り合いが品質確保の重要ポイントとなる。
工場製作パネルという特性上、目視できない箇所はあるものの、外部については防水施工状況、内部については構造躯体および断熱施工状況を対象として、可能な範囲で確認を行った。
外部の防水検査においては、パネルの上下階ジョイント部(現場施工部)にて、防水紙の破損を確認した。この部位は現場施工となるため不具合が生じやすく、比較的よく見受けられる指摘事項の一つである。
破損自体は大きなものではなかったが、防水紙の機能上、雨水侵入リスクがあるため補修が必要な内容である。なお、このような軽微な破損は施工会社側の自主検査では見落とされるケースも多く、本件も同様の状況であった。
内部の断熱検査においては、断熱材と木部との取り合い部に隙間を確認した。写真の隙間は断熱欠損となり、断熱や気密の性能低下の要因となる可能性がある。
一条工務店の通常仕様では隙間充填を行わない仕様とのことであったが、本インスペクションの指摘により当該箇所の隙間充填対応が実施された。
工場製品を用いた施工であっても現場施工部分には品質にばらつきが生じ得ること、また第三者検査の介入により施工品質の向上(是正対応の実施)につながった事例である。
 

竣工検査レポート

建物完成時後で、一条工務店による社内検査実施後にインスペクションを実施した。
下記の写真は、洗面化粧台の収納扉と物干し金物が干渉している状況。
社内検査は実施したとの事であったが、自社検査にて発覚していないのは問題である。つければいいという事ではなく、何のために(どう使うか?)設置するかをイメージしておらず「図面通りにつくればいい」という典型例だ。
指摘の結果、改めて物干しの位置を再検討する事となった。
写真は、雨樋(縦樋)の排水が繋がっていない事を確認した。
今回の計画では、「外構工事」は一条工務店ではなく、お客様手配との事であった為
外構計画との取り合い部分に関しては、事前に摺合せが必須である。
本来、お客様発信ではなく、住宅のプロである一条工務店側がお客様へ事前に提案等
をするべきだが、対応が出来ていないのは少し残念。
 

【まとめ】

基礎工程では、そもそも基礎を壊した経緯もあった為、当センターが介入する前の
工事担当者から上席に担当変更していた事もあり、軽微な指摘等はあったが
基礎工事は全体的にスムーズに進んだ印象でした。
躯体は工場での生産が殆どを占める工法(防水紙や断熱材も施工された状態)の為
構造の部分で目視確認できる範囲は少ないが、今回のレポートの通り、見える部分
だけでも性能面に関わる項目で複数個所の指摘がありました。
一方で、パネル工法という特性上、「工場生産だから安心」と思われがちであるが
「本当に見えない部分は正しく施工がされ、問題がないのか?」
という疑問を持つ方も多いと思います。
前提として、一条工務店を選ばれる方は、事前に工法の特性をよく理解するという事
が特に重要だと言えます。
また、実際には現場施工となる部分も少なくない為、今回指摘のように現場施工に関
わる部分でも施工不備が発生するケースは多い。
特に防水・断熱・気密に関わる部分は、完成後には確認が難しくなるため、施工途中
での最適なタイミングでの確認が重要です。
本件では第三者検査の介入により、施工会社の自主検査で見落とされていた事項につ
いても是正が行われており、品質向上に一定の効果があったと考えられます。
 

【K様邸基本情報】

建設地 千葉県
工法 ツインモノコック構造
延べ面積 100㎡~120㎡
階層 2階
契約時見積 該当データなし
最終見積 該当データなし

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