【エンジニアリングレポート】
調査結果まとめ
- 全般的には、大きな問題はなかった
- 検査依頼や是正報告も問題なし
- 夏季の突発的な雨により含水率が上昇し乾燥に時間を要した
- 工事監督を含め現場関係者のモラルは高い部類で、指摘の直しも確実に行っていた
三井ホーム、岐阜県A様邸の現場調査レポートです。基礎配筋検査、基礎完成検査、上棟検査、防水検査、断熱検査、内部造作完了検査の6回検査を実施しました。
夏季の突発性降雨により、フレーミング工事(構造組み立て)でかなりの雨をかぶってしまったため、構造材の乾燥に相当な期間を要しました。当職の乾燥方法の指示にも適切に対応をした結果、木材の含水率は時間を要しましたが無事に規定値以下になったことを確認して次工程へと進んだ現場です。枠組壁工法(ツーバイ)を採用する場合は、建設時期によっては工期の余裕を予め考えておくことが必要です。
基礎配筋検査レポート
コンクリートを流し込む前の鉄筋検査を実施。言葉通り「建物の基礎」であるので、細心の注意を払って品質確認を実施することは重要だ。
丁寧に施工されていた。写真は、鉄筋同士の間隔が狭くコンクリートの充填に不利になる。コンクリートは「骨材」と「セメント」「水」からなる現場で完成する材料の為、このような個所は注意が必要。
検査は現場監督、職人が立ち会って実施されたため、その場でやり直しを指示し完了した。
次の写真は鉄筋を地面から浮かすために用いるもので「スペーサー」というもの。現場ではサイコロやウマとも呼ばれる。一目瞭然だが、鉄筋に関係ない個所へ置かれているものは位置直しの調整を指示。
基礎完成検査レポート
基礎完成時の検査は、それ以降の構造精度と密接に関係している。床の水平や壁の垂直が正しくできるかは、この検査次第でわかる。現場で完成させる「コンクリート」は基礎屋の腕がもろに反映されると言っても過言ではない。
コンクリートの仕上がり状況は良好で、設計図書通りに施工されていた。
天端レベラー(水平を確保するために流し込む水のようなモルタルを指す)が部分的に浮いている箇所があり、是正を指示。
上棟検査レポート
基礎の水平精度が良かったこともあり、躯体の垂直水平精度は至って良好であった。写真はレーザー機器で垂直を確認している様子。
構造用金物のビス忘れを発見!文字通り構造に直結する見逃せないミスである。
基礎検査同様に、検査は職人が立ち合いの上実施したので、その場で是正させた。
写真でもわかるように、木が濡れ色になっている。フレーミング工事にて結構な降雨に見舞われてしまい、含水率が規定値を大きく超過。乾燥に相当な時間を要すことや乾燥手法の指示を実施し、経過観察となる。
防水検査レポート
三井ホームでは「VFフェルト」という通気用の防水紙を使用している。一般の木造住宅で用いられる透湿防水紙よりも丈夫で、出入隅部も破損の恐れが少ないのが特徴だ。
一方で堅い材料であるから、施工には丁寧さが求められる。職人の腕はここでも品質を左右すると言ってもいいだろう。
よくある指摘は外壁貫通部の施工である。その場で職人に是正指示をした。
含水率に関しては再計測をしたが依然として高いままであった。もう少し時間が必要である。
断熱検査レポート
壁は充填方式の繊維系断熱材を採用。これもよくある指摘だが、断熱材の留め付けが規定と相違している。
断熱材は本来「断熱業者」が施工するのが筋なのだろうが、低層住宅業界では「大工」にて施工することがほとんどである。詳細な説明は文章の都合上割愛するが、これが断熱施工ミスの最大原因と言ってもいい。
含水率は無事に規定値以下になったことをこの検査で最終確認。乾燥におよそ3週間を費やしたことが、写真の日付をみてお分かりいただけるはず。
内部造作完了検査レポート
大工の施工が正しく出来ているかを確認する検査。仕上がりに直接影響を与えるものなので、きちんとした施工精度が求められる。全体的には丁寧に施工されていた。
内部造作下地検査がなかったため、この検査で天井高さが設計図書通りかも確認をする。写真は小屋裏収納の天井高さ計測(実際にはレーザー機器で計測するのだが・・わかりやすいようにスケールにて撮影)
居室と認められない小屋裏は天井高さが1.4mまでと、建築基準法で定められている。
局所的に、壁の通りが悪い個所があった。ツーバイでは割と見かける指摘事項である。
【K様邸基本情報】
建設地 |
岐阜県 |
工法 |
枠組壁工法(木造・ツーバイシックス) |
延べ面積 |
150〜160㎡ |
階層 |
2階 |
契約時見積 |
税込4800〜5100万円(外構・解体工事費を除く) |
最終見積 |
税込4500〜4800万円(外構・解体工事費を除く) |